大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)1188号 判決

本件起訴状に依ると、被告人赤石直三郎は伊勢崎市農業会長、被告人田村高喜は同農業会専務理事であるが、被告人両名は共謀の上、昭和二十二年八月頃生産者である板垣明外五名から同人等の生産した粳玄米十俵を代金五万円で買受けたことを訴因としているところ、原判決は被告人両名共謀の上、昭和二十二年八月頃増沢工業株式会社が、その業務に関し板垣明外五名から、同人等の生産した粳玄米十俵を代金五万円で買受けるに当り、これが仲介、斡旋、代金の立替支払をなし、犯罪行為を容易ならしめて幇助したものと認定したことを認めることができる。しこうして原判決が右の認定をなすについて起訴状の訴因罰条の変更を命じたことは記録上これを認められないのであるが公訴事実の同一性を害せず、これに包含されるものであり、且つ被告人の防禦に実質的不利益をもたらさない限りにおいて裁判所は訴因罰条の変更なくして異なる訴因を認定し異なる罰条を適用することができるものと解するを相当とするところ、本件においては、起訴状記載の公訴事実は被告人両名が共謀の上、板垣明外五名から、粳玄米十俵を代金五万円で買受けたとの共同正犯の事実であるのに、原判決は、被告人両名共謀の上、売主板垣明外五名、買主増沢工業株式会社間の粳玄米十俵の売買の仲介、斡旋、代金立替払をなして増沢工業株式会社の買受行為を容易ならしめたとの幇助の事実を認定したもので、すなわち、被告人両名が、板垣明外五名の粳玄米十俵の売買に関与した具体的行為を認定し、これを買主と見ることなく、買主の買受行為を容易ならしめたに過ぎないものと認定したものであり、しかも右の認定は記録に現われた原審における審理の経過に徴すれば、被告人両名の自認の限度において認定したものであることが明らかである。従つて、原判決の右認定は、公訴事実と同一範囲内の事実と認めるに妨げなく、又正犯を幇助犯と認定し、その認定が被告人両名の自認する限度であることを考えると、被告人の防禦に実質的不利益を与えたものと見ることができないわけである。しからば原判決が起訴状の訴因罰条の変更を命じないで右のような訴因を認定し、これに対応する罰条を適用していても、所論のように審判の請求を受けない事件について審判したことにならないものといわねばならないから論旨は理由がない。

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